2020年5月6日水曜日

システム思考というアプローチ

出典: https://www.change-agent.jp/systemsthinking/approach.html

システム思考というアプローチ
システム思考は、複雑な状況下で変化にもっとも影響を与える構造を見極め、さまざまな要因のつながりと相互作用を理解することで、真の変化を創り出すためのアプローチです。問題の見えている部分を近視眼的・表層的にとらえるのではなく、全体像をさまざまな要素のつながりとして理解し、本質的な原因を見通して、他の分野や将来に悪影響を及ぼさない、最も効果的な解決のための働きかけを考えます。
システムに働きかけるとき、システムには独自の目的やルールがあって、それらを勘案せずに施策を行ってもシステムはたいていその施策に対して「抵抗」します。システム思考は、この抵抗を予期することで適切に対処し、広がりのある働きかけを意識して解決策をデザインすることを目指します。
また、問題が起きたとき「外部環境がわるい」「あのひとのせいでああなった」など外部や他者に原因があると考えがちです。実際には、同じ環境下でもよりよく行動する組織や人も多く、また、特定の人間関係もその相互作用が生み出すものであることから、自分自身がどのようにそのシステムの一部となっているかを認識することが大切です。自分たちとのつながりを探り、自分たちが与えている影響や、働き掛けを考え、自ら望ましい変化を創り出していくことができるようになります。
システム思考を修得することによって、真の解決策を創り出し、変化を加速することができるようになります。 システム思考は、目の前の問題が実はどのような要素のつながりで起こっているかを考えることができるだけではなく、部門内・部門間・社内外のコミュニケーションにも大変役に立ちます。海外ではマスターカードやデュポン、GMなどもシステム思考によって年間あたり数百億円規模に及ぶ業務改善・利益向上をもたらしています。世界では、マスターカードやデュポン、GM、DECなど大小さまざまな企業がシステム指向を導入しています。こうした導入企業は、根本から戦略を見直し、業務を抜本的に改善したり、部分最適による大きなムダを排除することによって相当規模の売上改善、コスト削減、利益向上をもたらし、組織全体が組織の使命をより効果的に実践するなどの効果を生み出しています。

氷山モデル
「氷山の一角」という言葉にもあるように、表面に現れていることは、全体のほんの一部分に過ぎません。システムの全体像を4つの階層に見立て、
 ①表面にあって注目されやすい「出来事」、
 ②出来事の起こる中長期的な傾向である「パターン」、
 ③パターンを生み出す「構造」、
 ④さらにその構造の前提にある「メンタル・モデル」
に分けて捉えることで、物事の全体像を見るためのフレームワークが「氷山モデル」です。

出来事ではなくパターンを見る
売上低下やコスト上昇など何かの出来事や問題があったとき、その出来事を単独で捉えるのではなく、そこから過去を振り返ってみて考えてみると、例えば「値下げセールをしたあと数ヶ月後に売上げが落ちている」などの繰り返し起きているパターンが見えてきます。このパターンを知ることで次に何が起こりうるかを予想し、計画的に対策を講じることも可能ですが、複雑・不確実な状況下においては、さらに深いレベルに掘り下げることが求められます。

パターンを引き起こすシステムの構造を見る
なぜ行動・事象がパターンとして繰り返されるのでしょうか。そのなぜを繰り返し問うことで、より深いレベルでパターンに影響を与える構造が見えてきます。担当者や責任者を入れ替えても、背後にあるシステムの構造が変わらない限り、同じ行動パターンが繰り返されます。システム思考では、自分や他人を責めるのではなく、システムの構造にこそ問題があると考えます。システム思考は「人の可能性を信じる」アプローチでもあるのです。
システムの構造にはいくつかの基本パターンがあり、その構造を理解することは創造的な課題解決の出発点になります。

根っこにあるメンタル・モデルと構造の相互作用に切り込む
システム構造には、その前提となっている意識・無意識レベルの前提があります。これをシステム思考では「メンタル・モデル」といいます。そもそもの目的や問題を他責にしたり、狭く解釈するような枠組みを前提を見つめなおして、働きかければ、単に適応するだけでなく、自律的に学習し、つねによりよいパターンへの変化を創り出す個人や組織となることも可能です。
システム思考はこんな場面で、新しい視点と有用なツールを提供します
  • 複雑なビジネス環境下においての事業戦略立案と遂行
  • 部門・機能別に分かれた組織運営について綜合の視点から全体最適を図る
  • 多様化する企業の社会的責任の実践
  • ステークホルダー(利害関係者)と共通理解を築くコミュニケーション


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