2020年5月3日日曜日

再生可能エネルギーの嘘を暴くマイケル・ムーア最新作の衝撃

https://forbesjapan.com/articles/detail/34265/1/1/1

再生可能エネルギーの嘘を暴くマイケル・ムーア最新作の衝撃


環境保護を推進する著名人やテクノロジー企業は、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが、いかに優れたものであるかを力説してきた。しかし、マイケル・ムーアが製作を手がけたドキュメンタリー映画「プラネット・オブ・ヒューマンズ」は、この業界の欺瞞に満ちた実態を暴き出している。

「プラネット・オブ・ヒューマンズ」は、4月21日からユーチューブで無料公開されている。ムーアはロイターの取材に「自分はこの映画を撮る前、太陽光パネルは永久に使えるものだと思っていた」と述べている。「それがどうやって作られているかを知らなかった」

監督のジェフ・ギブスはカリフォルニア州の太陽光発電所の跡地を見ながら「太陽の墓場みたいだ」とつぶやく。「ソーラーパネルの寿命が短いことを初めて知った」

人類がエネルギーの枯渇に直面しているという話は真実ではない。地中には数百年から数千年にも及ぶ人類の活動に必要な石油が埋蔵されており、原子力エネルギーのキャパシティはほぼ無限と言える。

この映画は、他では見られない環境保護活動の舞台裏を探っている。アップルのサステナビリティ部門主任のリサ・ジャクソンは、イベントの壇上で「アップルは再生可能エネルギー導入率100%を達成した」と高らかに宣言し、観衆の拍手を浴びる。

しかし、ギブスが取材した再生可能エネルギーの専門家は「太陽光や風力のみで運営している企業は、地球上に1社も存在しない」と話す。映画ではアップルの太陽光施設を建設するために、切り倒された森が描かれる。

環境保護イベントのアースデイ創設者のデニス・ヘイズは2015年のイベントの会場で、太陽光エネルギーのみでコンサートが運営されていると宣言する。しかし、ギブスがステージの裏側にまわり、マイクを向けたスタッフは「会場の電力はディーゼル発電で生み出されている」と話す。

無料のエネルギーの魔法は存在しない


イーロン・マスクはテスラのギガファクトリーが、再生可能エネルギーで運営されていると主張するが、実際は既存の電力網に頼っている。企業エキスポでソーラーパネルを販売する業者は「一部のソーラーパネルの寿命は10年程度だ」と話す。「無料のエネルギーを生み出す魔法は、現実には存在しない」

映画では、未来のエネルギーとして期待されるバイオマス燃料の残念な真実についてもふれている。一部の科学者は、バイオマスやバイオ燃料がブラジルやマレーシアの熱帯雨林を破壊すると述べている。環境に優しいとされるエネルギーが実際は、石油や石炭よりもずっと多くの二酸化炭素を排出するのだ。

「プラネット・オブ・ヒューマンズ」には、シリコンバレーの著名ベンチャーキャピタリストのビノッド・コースラが、CBSの「60ミニッツ」に登場した際の映像も収められている。コースラは、バイオ燃料がクリーンなガソリンになると主張する。

その1年後に彼が運営するバイオ燃料企業「KiOR」は破産宣告を行い、ミシシッピ州からの7500万ドル(約80億円)のローンの返済を免除される。ワシントン・ポストの記者は、KiORの関係者が意図的に破産を仕組んだと指摘する。出資者らは、同社が詐欺を行ったとして提訴した。

バイオ燃料の最大の問題の1つは、必要となる土地の面積があまりにも巨大なことだ。最も効率的なバイオ燃料の原料となる大豆の栽培には、石油油田の450倍から750倍の面積の農地が必要になる。ブラジルで最も効率的なバイオ燃料として普及が進む、さとうきび由来のエタノールの産出にも、石油の産出に必要な土地の400倍の農地が必要となる。

映画では環境保護活動家として知られる元副大統領のアル・ゴアが、「若者向けの民主的なテレビ」として設立したカレントTVを、2013年に中東の産油国であるカタールのアルジャジーラに売却し、莫大な利益を得ていたことにも触れている。

アル・ゴアはその1年前に「石油への依存を減らすことが、人類の未来につながる」と述べていた。

太陽光パネルは原子力よりも有害


再生可能エネルギーの推進派は、太陽光エネルギーが石油を置き換える存在になるとアピールする。ドイツでは、かつてエネルギーの80%を太陽光パネルで得ていたと主張する人もいる。

しかし、2019年時点で、太陽光や風力で満たされたのはドイツの電力エネルギー全体の34%でしかなかった。ドイツのエネルギーの大半は、天然ガスや石油、トウモロコシ由来のバイオガスから生み出されている。

さらに、太陽光パネルの製造には膨大な種類の素材が必要になる。ソーラーパネルの製造には原子力発電プラントの16倍にも及ぶ、セメントやガラス、コンクリートや鉄が必要で、排出されるゴミの量は300倍にも達するという。

また、太陽光パネルの製造や、ソーラー発電所の建設に必要な資材の多くは、米国最大のコングロマリットの1社として知られるコーク・インダストリーズが製造している。石油や石炭、天然ガスなどのエネルギー産業を操るコーク・インダストリーズは、環境保護活動家が目の敵にする企業だ。

「これは全く皮肉な話としか言えないだろう。環境に優しいはずの太陽光パネルが、環境問題の元凶となる企業の部品で作られているんだから」と映画に登場する関係者は笑う。

環境を守ろうとする人々の行動が、結局、さらなる環境破壊を引き起こしてしまうのだ。この映画は人々の「サステナビリティ」に向かう欲望が、ある種の「不死への欲望」に近いことを示唆している。

「人々の行動を変えるために必要なのは、私たちはいつか必ず死ぬという事実に気づくことだ。我々は閉じた世界観の中で暮らしている」と映画の中で社会学者は話す。

「太陽光発電が人類を、未来に連れて行ってくれると信じ込んでいる人々は多い。けれどもそれは妄想に過ぎない」



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