出典: https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63554870X00C20A9TJ1000/
「浮体式」の風力発電、欧州企業が攻勢 日本勢、リード許す恐れ
- 2020/9/8付
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風車を海に浮かべる「浮体式」と呼ぶ風力発電で欧州のエネルギー企業が攻勢をかけている。仏エンジーや北欧石油大手のエクイノールがそれぞれ欧州で事業化に着手。設備を海底に固定する従来主流の「着床式」に向かない海域にも広く進出する狙いだ。一方、日本勢は規模面などで実績に乏しく、欧州勢にリードを許すおそれがある。
エンジーやスペインの再生可能エネルギー大手EDPリニューアブルなどが出資する発電事業会社が7月、ポルトガル沖で浮体式のプラントを稼働させた。出力は計2万5000キロワット。両社はフランスでも2022年に計2万8000キロワットの浮体式を稼働させるプロジェクトを計画する。
エクイノールは22年にもノルウェーで、合計出力が8万8000キロワットの浮体式プロジェクトの稼働を予定。8000キロワットの風車を11基整備する。
洋上風力の導入で先行する欧州の沿岸は浅瀬が多く、着床式が主流だが適地が減ってきた。ウインドヨーロッパ(欧州風力エネルギー協会)によると、洋上風力への投資は16年の200億ユーロ(約2兆5000億円)で頭打ちになり、19年には60億ユーロまで減少。状況打破の新たな手段として期待がかかるのが浮体式だ。
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、30年までに世界で3000万キロワット分の浮体式が導入される見通し。50年には世界の洋上風力の15%を占めるという。
日本勢も浮体式の開発に注力する。海底の起伏が大きい日本やアジアでは浮体式が有効とされ、日本では着床式に比べ導入可能な場所が約5倍あるという。福島県沖では丸紅や東京大学などが13年末に実証実験を開始。戸田建設も13年から長崎県沖で実証に取り組む。
ただ欧州に比べて規模は小さい。福島県沖で稼働していた7000キロワットの風車は不具合が多く、今年5月から撤去に向けた作業が進んでいる。世界をリードするレベルまで至っていない。
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