孫社長も実践 ソフトバンク式プレゼン術、7つの鉄則
プレゼン資料のポイントは2つ。「構成」と「表現」だ。まずは、構成でどうストーリーを組み立てていくか。ここで陥りがちな“わな”がある。
「相手を動かす」を徹底的に考える、プレゼンに応じて結論位置を移動
プレゼンは、自社の商品をアピールする場でもなければ、自分のアイデアを披露する場でもない。真の目的は、「相手を動かす」ことにある。相手の会社に自社の商品を導入してほしい、上司にプロジェクトを承認してほしいといった、誰に何をどうしてほしいのかを明確にしなければ、プレゼン自体の意味がない。
目的がしっかり定まれば、次は「内容」。最も伝えたいメッセージである結論、その結論を納得させるための根拠、そして相手が行動することで得られる利益。これらを具体化していく作業になる。構成の最後は「順序」。結論を冒頭に伝えるか、各論から入って結論をラストにすべきか。企画提案や報告のプレゼンなら「結論先行型」、セミナーや講演なら結論を後回しにする「問題提起型」が有効になる。
確固とした構成が決まれば、実は「表現」は難しくない。まずは下のEBITDAのスライドを見てほしい。極めてシンプルなこの1枚に、ソフトバンク流が凝縮されている。
ソフトバンクが確立した“鉄板”のスライド作成メソッドは以下の7つ。限りなくシンプルであるにもかかわらず、見せたいところと言いたいことが一発で相手に伝わる。フォーマットに沿って進めれば、迷うことなく最短距離で最高のプレゼン資料が作成できる。
(1)グラフはできるだけ省く
直感的に相手に理解させればいいので、余計なケイ線や単位は不要。ここでは主に「2兆円」がわかればよく、縦の目盛りまで省いてしまってOK。
(2)ベースはグレー、色は最小限に
カラーは意外にインパクトがない。色は少ないほどよく、グレーがベースカラーに最適だ。
(3)1スライド1メッセージに
1枚のスライドにあれこれ入れず、言いたいことは1つにとどめる。また、横組みの場合、目線は一般的に左から右に動くため伝えたいメッセージは右に置くのが鉄則。
(4)メッセージは「少し上」
キーとなるメッセージはセンターではなく少し上に置くのがポイント。講演などで後ろの席からでも見やすくなる。
(5)使うべき書体はこの3つに決まり!
あれこれ書体は選ばずに、基本は1種類でOK。「Meiryo UI」はベースが細めなので、太字細字を使い分けると強調しやすい。
(6)文字の大きさは20ポイント以上
投影用資料は20以上にするのがソフトバンク流。メッセージの文字数を最少限にして、そのぶん文字サイズはとにかく大きく。
(7)ポジティブは青、ネガティブは赤
色の役割分担を明確に設けておくと、シンプルかつわかりやすくなる。信号と同様に、青系と赤系を対極の意味で使うのがベスト。
グラフの縦軸がない、色は青とグレーしかない、メッセージが「2年で倍増へ」のたった6文字しかない。同社のプレゼン資料は、無駄なものを徹底的にそぎ落とした「引き算」で成り立っている。にもかかわらず、伝えたいことは数秒あれば理解できる。書体や文字の大きさ、配置といった、上で示した7つの「型」さえ覚えてしまえば、誰でもソフトバンク流を実践できるのだ。
スライドの「型」を身に付ける
ソフトバンク流のスライドには「型」があり、それに沿って作れば最短距離で完成できる。下の2種類のほか、優劣のないものを横に並べる「並列」、並べて矢印でつなげる「変化」の4パターンだ。
長々としたタイトルはプレゼンの大敵。Yahoo!ニュースのヘッドラインと同じ「13文字以内」がソフトバンク流だ。スライド枚数も重要で、多過ぎると散漫になり、少ないと飽きられてしまう。「5分のプレゼンなら5~9枚程度がよい」(海上氏)
孫社長へのプレゼンは、「パッと見て10秒以内に意図がわからないものははじき出されてしまう」(海上氏)。多忙なトップが瞬時に理解し、即決できる資料。極めてシンプルなソフトバンク流のプレゼン資料はこうして生み出された。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2017年4月号の記事を再構成]
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