■出典:
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49957090Y9A910C1MM8000/?n_cid=SPTMG002
温暖化で海面上昇、最大1メートル超 国連報告案
- 2019/9/18 23:02
- 616文字
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温暖化で北極の氷が解け、海面上昇が起きると考えられている=ロイター
地球温暖化がもたらす影響について国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がまとめる報告書の原案が判明した。温暖化ガスの排出削減が進まないと、北極の氷が解けるなどして今世紀末までに海面が最大1メートルを超えて上昇すると予測した。高潮や洪水によって世界の10億人が危機にさらされ、2億8000万人以上が家を失う。
影響は世界の科学者が最新の研究にもとづいて分析し、報告書にまとめる。原案は各国政府にインフラ整備や防災対策の強化を迫る内容で、温暖化のリスクが改めて浮き彫りになった。IPCCは20日からモナコで総会を開き、25日に報告書の詳細を公表する。
IPCCではこれまでも温暖化によって80センチメートル程度の海面上昇があると分析していた。北極の氷床や陸地の氷が解ける速度が速まる兆候があり、原案では上昇幅を大きく見積もり、影響が深刻になるとの見解を示した。
水没を恐れる島しょ国の脅威となるほか、沿岸部の大都市にも甚大な被害をもたらす。台風やハリケーンなどで陸地に海水が押し寄せ、広い範囲が浸水する危険が高まるためだ。
温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の成否などへの言及はないものの、有効な対策を取らなければ被害が拡大すると警鐘を鳴らした。
このほか、山岳地帯の氷河も今世紀末までに少なくとも5分の1が消える。欧州の一部地域では氷河の8割が失われるという。IPCCの分析では、世界の平均気温は産業革命前からすでに約1度上がっている。